想像もしてなかった局面を迎えると、パニックになったりしませんか?

私自身リストラされて、うつ病を抱え完全に隠したまま転職活動をしましたが、上司達と戦っている最中、最悪の場合の想定はできていました。

あっ、もちろん自分自身がうつ病になるだなんて、想定できていませんが、それでもこの局面だけは、想像だにしていませんでした。

40代でリストラされて再就職した先が、映画のセットみたいな会社だったのですから。

心温まる古き良き時代の職場で徐々にうつ病が改善する

心臓が飛び出るぐらいドキドキしながらの、初出社。

まさかうつ病を抱えて転職できるなんて夢にも思ってないし、御堂筋線のラッシュは初体験です。

人ごみの中でパニックになるのだけは勘弁なと考えながら、なんとかオフィスまでたどり着けた。

これから仲間としてやっていく同僚は、どんな人達だろうか?上手くやっていければいいなと期待を胸に、私を面接して気に入ってくれた50代後半の総務担当者に案内され、ひとりひとりあいさつ回りですよ。

朝礼が始まり再び自己紹介。なんとか噛まずに言い切れたなと、一安心も束の間。

採用過程には一切顔を出さなかった、小錦みたいな事業部長さんを中心にミーティング。私が加わったことで、総務人事部は総勢6名になった。月並みの力を合わせて社を盛り上げて欲しい的な話だ。

事務員の女の子達も、以前にパートナーだったお局と違い素直でいい子ばかりだ。

「分からないことがあったら聞いてくださいね~」と声をかけてくれ、「私も分からないことは聞いちゃいます」といい雰囲気だ。

「うちは古き良き時代のままなんだよね~」と業者任せにせず、自分たちで中元を配る準備に勤しむ総務のお二人。

逆に中元が来たら社員みんなで、3時のおやつタイムだ。

うつ病の私にとっては心和む時間ですよ。たった15分ほどの休憩ですが、老いも若きもワイワイと羊羹を楽しむんです。

ああ、こんな幸せが一生続いたら、このうつ病も良くなるだろうななんて楽観視ししてましたよ。完全にね。

ある違和感に気付き見てはならないものを発見し始める

雰囲気もいいし、60代近い社員さんが多いもののオカしな人は誰一人いない。

それでも、私の違和感レーダーが反応しっぱなしだったんです。ええ、初日からずっとです。言葉にはできませんが、第6感的なものでしょうか?

それは3日目に現れました。

採用過程の、最終面接をドタキャンした社長様です。元々予定していた3次面接である社長面接が急遽中止になるも、私は採用されてしまったわけですが、入社3日目にして社長さんにお会いすることが出来ました。

小錦みたいに大きな事業部長の次は、強面の社長は、俳優の田中哲司さんソックリだ。

しかし社長が現れた途端、ワイワイムードが一変。まぁ、どこに行っても社長がいる前では真面目モードだよなんて思っていたら、社長室から「バシィーン!バシィーン!」と何かを叩きつける音が。

まさか、ここはブラック会社か?!と顔面蒼白になっていたら、「いやぁ、悪い悪い。ちょっと蚊が飛んでたから。あ!今ここはブラック企業か?って思ったでしょ?」とおどける社長。

しかも、「ハヤテ君飯食いに行こうか!」とランチに誘ってくれるじゃありませんか?企業の長から食事に誘ってもらえるなんて光栄です、頑張ります!と意気込むも、午後にあるものを発見してしまい、私は固まっていまいます。

遺書です。

次にこの椅子に座る人への書置きです。

パソコンの中に、それも60代近い社員さん達では見つけられない階層に隠してありませした。「誰が書いたんだろう」興味本位でWordを開いた私は驚愕してしまいます。

私がいるのは映画のセットで何もかもが作られた空間

書いたのは一人ではなく、総勢6名分。

年齢にして若きは30代後半の女性から上は50代後半中高年までが、自分たちが入社してから気付いたこの会社の異様さと、次に経理課長としてこの椅子に座る人への警告文が綴られていました。

更新履歴から推測するに、たった3年の間に6名もの経理課長が私の前に在籍していたことになります。

マジかよ…。私は自分のうつの症状も忘れて連日見入ってしまいます。

それによると、私が入社するまで社長も同じフロアにいたが、平成の時代になってもオフィスで喫煙。事務の女性達から散々文句を言われたが、変えようとしないばかりか、女性達を解雇。

2代目で甘やかされて育ったから、すぐキレる。会議室でなく、皆の前で永遠と公開処刑が行われるものだから、うつ病になって辞めた管理職も多い。

耳元で怒鳴られるものだから、突発性難聴になって、泣く泣く辞めた女性管理職は今も苦しんでいる。

極めつけは自殺者がいるって事実です。それも2人も。正確には、私が在籍していた2か月目に、1人が亡くなる事件は起こったんです。

9月に入ろうとしていたその週、いつにもなくオフィスがざわめき立っており、定年間近の社員さん達が、ヒソヒソ何かを話している。

何かあったな。総務として裏の仕事をやって来た私は、そう直感しました。

それでも新人の私に情報が回ってくることなく、この日は終わりますが、翌日事務の女の子からLINEである写真が送られてきて唖然としてしまいます。

そこには、なんと、会社が保有している倉庫の中で、鑑識らしき人と、ヤクザみたいな刑事が映っています。ええ、テレビなどで見たことあるから知ってますよ、腕に大阪府警と腕章を付けています。

その先には、何かの塊がありました。後日聞いたところによると、ご遺体だったそうです。

マジでヤベぇな。

わざとカミングアウト試用期間内に脱出するうつ病の私

ここまで知ってしまったら長居は無用です。

1日でも1秒でも早く脱出しなければなりません。

試用期間も3分の2が終わっていますから、もうすぐ正社員として採用されてしまいます。手段を選んでいる場合でもありません。

取り敢えずは、暫くご無沙汰だった心療内科に電話。

病院と職場が正反対だったため、週末にしか通えずも、その週末さえも疲れ切って寝ていた私です。

「怒っているだろうな、あの医者」と考えながらも、電話で事情を説明。「だから言わんこっちゃねーよな」と、「そういう事情なら書いてやるよ」と急遽診断書を作成していただけた。

あとは、タイミングを見計らって「この異様な状況下で、うつ病になってしまいました」とカミングアウトするだけです。

そうです、元々うつ病を患っていたとカミングアウトすると、病歴を偽って入社したことになります。

女子社員達がランチに出たのを見計らって、「実は、私うつ病にかかってしまったんです」と総務担当に切り出す私。

もちろん効果てきめんで、恐らくうつ病に対する耐性のない人の素振りを見せる。「ちょっとここでは」と会議室に引きずり込まれる。

その誰もいない会議室で、「やっぱりダメだったか」と彼がポツと放った言葉が今も私の耳に残っています。

そこから先はトントン拍子ですよ。

総務担当から事業部長小錦へ、ヒソヒソ。私の方をちらっと見たのち、腫れ物を触るような扱いで、「残り2週間ほどあるが、今日で退職していい。」と小錦部長。

もちろん、お給料は出しますと。

うつ病で転職したら超ブラックな会社だった話まとめ

[box05 title="要点まとめ"]
  • 古き良き昭和な中小企業に入社して鬱病が改善し始める
  • 3週間目に遺書のような隠しファイルを発見し驚愕する
  • 何もかもが作られたオフィスで早く逃げないとと直感
  • 一刻も早く脱出するためうつ病をわざとカミングアウト
  • あくまで緊急対策なのでマネしないように
[/box05]

やはりというか、「うつ病です」カミングアウトの威力をまざまざと見せつけられた瞬間ですね。

大人な皆様は、緊急時以外は絶対にマネしちゃだめですよ。