人の秘密をベラベラしゃべる奴って信用できませんよね?

人の秘密は蜜の味とはよく言ったもので、人の不幸ネタほど面白おかしいものはありません。人生40年も生きていれば、隠し事のひとつやふたつ持っているものです。

でも、流石にバラされるのは勘弁願いたい。

普段はそう考えるサラリーマンやOLでも、うつ病になった時は話が違ってきます。誰かに話したい衝動に襲われるのです。

再就職支援会社の後押しがあったが絶望以外なにもない

桜が散り、ゴールデンウィークに差し掛かろうとしていた頃、会社がもうしわけ程度に付けてくれたアウトプレースメントのオフィスから、遠く大阪市内を眺めていました。

アウトプレースメントは、再就職支援会社のことで、リストラで人員削減を行う企業から依頼を受け、退職した社員の再就職を支援するビジネス。

いわゆる引きはがし屋です。

既に彼らとは、追い出し部屋の攻防時から顔なじみ。

リストラ勧告されるも、必死に抵抗する社員を「あなたほどのキャリアなら、あまたの求人を受けられる」とか「今転職するなら、年収100万円ほどアップするけど、それでも残留する?」って精神的揺さぶり担当ですよ。

ええ、私はリーマンショック時に彼らと共謀して、居座る社員を退職へと追いやりましたとも。ですから、彼らのやり口は痛いほど知っています。

あの手この手で、ダダをこねる赤子をキャンディで誘うように、ウソっぱちの餌をぶら下げて「こっちだよ、素直に退職したらイイ求人があるよ」と誘うわけ。

でも、大概が大ウソです。

「1月に、ハヤテさんに説明した求人は、もう全部埋まっちゃってて、今は特にありませんねぇ」と転職が最盛期を迎える4月にも関わらず、紹介する案件が1件もないと、若い担当社員が白々しく言うです。

「最初から求人なんてなかったんだろ、嘘つきが!!」って罵ったところで退職の事実は変わらない。

そもそも信用できないから、「実は私うつ病患っているんです。」って心を開ける相手でもない。

この病気になってみて気付いたのは、「私の、うつ病を患っているこの辛さ。孤独さ」を分かって欲しい衝動に駆られること。

なぜ何もかも上手くいかないのかと心療内科医と大喧嘩

症状が改善することなく、件の心療内科に通っていることに段々腹が立ち始めます。

訪院して、散々待たされて、5分ほど話を聞いてもらって、セパゾンを処方してもらって終わり。「今日は調子良さそうだから、薬は半分でいいよ」「お酒はダメだって言ったけど覚えている?」とたわいもない会話です。

もう通い始めて8か月ほどになるのに、一向に改善の兆しさえ見つからない。

「私の息苦しさはいつ治るのか?」「いつになったらマトモな体に戻るんだ?」そんな質問を毎回ぶつけてはみるものの、「この病気は1年で治る人もいれば、10年20年と患う人も珍しくない」と返して来るだけ。

転職活動もアウトプレースメントが頼りなく、いい加減不満が爆発しそうな予感がしていたある日、心療内科医の「なんで傷病手当金申請せんかったんよ?」の一言に私はキレた。

「あんたが最終日に出勤したら、支給要件を満たさないとアドバイスくれていれば、今頃とっくに傷病手当金は受給できている!あんたのせいだ」院内に響き渡るほど大声を出した私に、心療内科医はこう一言だけ言いまいた。

「あんたは、職場のストレスが原因でうつ病になったのではなく、その性格が災い。そんな奴に傷病手当金を貰う資格はない!」

はぁ?って感じじゃないですか!何で医者から怒られる必要があるんですか?訴えてやりますよ、医師協会に!この野郎ってブチ切れたところで、「そんだけ元気があるなら、うつ病をカタるなよ」っと今日のカウンセリング終了です。

不満のはけ口は家族との会話のみ!そこに潜む落とし穴

「今日さぁ、あのバカ精神科医とバトルしてきたんだけどねぇ」と夕食時の話題は、それ一色です。

その前の日は、転職活動が上手くいかなかった話題。

40代って一番脂が乗った時期だと思いませんか?

入社してから18年。

新人と中堅を経験して、さぁこれから仕事だったり会社を背負ってバリバリやっていくはずなのに、40代って理由だけでお見送りされる。

まるで、邪魔者扱いですよ。

40代でリストラされたってだけで「仕事ができないから切られた」と貼られるレッテル。いやいや、あなた達は、私がどれだけ職場に貢献したか分かってますか?

「いざこざが起こる前は、汚い仕事を一手に引き受けて、社内改善に貢献したり、大掛かりなプロジェクトを率いてバリバリ、業務改善して社長賞もらって、そういうところ聞いてからジャッジしろよ。」

こんな調子でずっとしゃべっているもんだから、今度は妻のフラストレーションが臨界点を超えようとしています。

ある日、こう言われてしまいます。

「あなたは鬱憤を晴らしてさぞ満足でしょうが、今日も書類選考に落ちたとか、心療内科医とバトルしたとか、アウトプレースメントは役には立たないとか、あんたはドバイの王様か?私はあなたの奴隷か?

今度は私がうつ病になりそうよ!あなたが、うつ病でも場をわきまえてよ!」とワンワン泣かれてしまいます。

夫婦の間柄であっても、ちょっと勝手すぎたのかもしれません。私は少し反省し、「だったら誰に相談したらいいんだよ?」と葛藤が始まります。

ようやく転職サイトに登録し奇跡的に内定が出てしまう

家族以外に、うつ病をカミングアウトしないまま6月を迎えた私に転機が訪れます。

なんと、リクナビNEXT経由で応募した複数の企業から内定を貰えてしまいます。どちらも、昭和の香りが漂う古き良き時代の中小企業。

1社目は、同族会社の運輸業で総務経理部長代理。現部長さんが定年するらしく、私はその後釜で、ゆくゆくは部長ですよ。

ただ気になったのが、「うちは就業規則も作っていないから、あなたの代で法整備して欲しい」の一言。

察するに、ガチブラックだなと総務職としての経験が警告を鳴らしましたね。

もう1社も、同族会社の石油卸売業者。総務職希望のところ、60代手前の担当が退職するまでは、財務経理を担当して欲しいとのこと。

正直、不正経理に加担してきたトラウマがあるので、経理職は勘弁してほしかったが、市場の中で総務職は激レアですよ。

家族がいる身としては、贅沢も言いていられない。

しかもです、面接の後に送ったお礼状に感銘を受けたのが決定打になったようなんです。古典的なテクニックですが、これが結構効くんですよね。

特に、昭和な古き良き時代の中小企業には。

書類選考時に同封した自己PR文の破壊力も凄まじかったようで、入社後にですが総務人事担当から「100人近く応募者がいたが、面接に進んだのはあなたともう一人だけ」とカミングアウトされ、あながち私の戦略も間違ってはいなかったと実感。

この頃の私は、内定が取れたこともあり、うつ病の症状が治まり、多少穏やかに暮らせていまいた。

内定が取れたことを主治医に報告し、「うつ病は完全に治ったわけじゃない。無理だけは絶対にダメだよ」とアドバイスをもらい、内定を承諾し7月からの出社に向けて動き始めるのでした。

この後訪れる悲劇も知らぬままに。

カミングアウト希望!うつ病を隠しての転職活動は孤独

[box05 title="要点まとめ"]
  • アウトプレースメントの支援があったが絶望以外なにもない
  • 上手くいかない原因を診療内科医と妻にぶつけ逆ギレされる
  • うつ病を患いながらもリクナビNEXT経由で内定を勝ち取る
  • 40代は自己PR文やお礼状などの古典的なテクニックが有効
  • うつ病を匂わせたりカミングアウトすると即お見送りされる
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「ここだけの話ですが」と誰かに聞いて欲しくても、同僚に鬱病をカミングアウトしてしまうと、拡散されるのは時間の問題です。

絶対に匂わせたりカミングアウトは厳禁ですよ。