カウンセリングを利用し心休まるも転院!うつ病で休職を迫られる私

不正をしていたのは経理担当者だから、我々はあずかり知らなかったなんて記者会見を見る度、反吐が出そうになります。

不正なんて、いち担当者がひとりできるわけないじゃないですか?

それを、本音的には私達が担当者にやらせていたんだけど、社会イメージが低下するから責任は一切取らないし、建前的には、こいつのせいにしておけば安泰じゃないかって、トカゲのしっぽきりが始まるんです。

社のために尽くしてきた私達を、ゴミでも捨てるかのようにポイ捨てできる。これが企業なせる所業です。

首を絞められている圧迫感に苦しみながら出社する毎日

この頃、自分の体調に何かが起きていると気付き始めます。

悪夢を見て寝つきが悪いだけでなく、食欲だけでなく性欲もピタリと止まってしまします。

ようやく娘が自分の部屋で眠れる年頃になり、2人目が欲しいなんて考えている時期です。妻が不思議に思うのも、もっともじゃないですか?

しかも、誰かに首を絞められている息苦しさが続き、おかしな咳が止まらない。

近所の内科や産業医に診てもらっても、風邪でもない。私は仕方なく福利厚生で契約していたメンタルヘルスの心理カウンセラーに電話します。

症状を話し、自分に何が起こっているのか分からないと伝えると、「一度クリニックにお越しください」と告げられ、私は翌週有休を取り、妻にも内緒でメンタルクリニックに赴きました。

今でも覚えているのが夏の暑い日で、新大阪近くにあったその秘密の場所はプライバシーに十分すぎるほど配慮された空間。

こうなる前、私は本社ビルの一室で、総務職としてメンタルヘルスを考えるセミナーに参加していました。そこに同席しておられた主任カウンセラーのSさんが、私の担当となってくれました。

よもや自分自身が、精神的におかしくなって話を聞いてもらう側になるとは思いもしません。

そういう病にかかったことのない私は、投薬されるでもない、このまったりした1時間のカウンセリングで多少癒されスッキリした気分を感じていました。

誰かに話すことで少しは楽になれるとこの時実感した

このカウンセリングで感じたことは、とにかく口に出して話すとスッキリすることです。社内であった抗争や、不正経理を任されて辛かったこと、このまま社に残るべきか転職するべきか。

心に浮かんだことを都度メモして、月1回のカウンセリングに臨みました。

ようやく言いたいことをすべて伝えられ、担当の主任カウンセラーとも打ち解けられた頃、無残にもこの月1回のお楽しみが終わりを告げます。

無料のカウンセリングは永久に受けられるものではありません。

ええ、無料で受けられる8回目のカウンセリングが終わってしまい、私は「近所の心療内科を紹介するから」と放り出されてしまいます。

何というか、裏切られたような、見捨てられたような気持ちでいっぱいでしたね。

有料でいいから続けて欲しい旨を伝えましたが、「弊社は企業としか契約していない」とアッサリ断られます。

それでも、人のありがたみを感じたのは、「規定の8回目は終わったけど、個人的に近くのカフェで一緒に心療内科を探すのは問題ないわよ」と提案してくれた時は、涙が出るぐらい嬉しかった。

次にカフェで会った時、彼女は私が自宅から徒歩で通える範囲内の心療内科を数件調べてきてくれていました。

担当医の専門や口コミを、数枚の紙にプリントアウト。「私が絞ったこの5件から一緒に選んでいきましょう」と選んだのが最初の主治医Fだ。

その頃職場では、「不正経理は全部ハヤテがやったこと」にしてしまった私の上司達にキレて、ベンチャー企業最強の勢力が動き出していました。

別名「企業買収の鬼チーム」と呼ばれている親会社の、事業部長、経営部長、とその子分達が1年間の出向名目で、私の上司となったのです。

目的はもちろん不正経理の全面解明。

私とバカな上司達と、ベンチャーの凄腕たちの三つ巴戦の始まりです。

激しい主導権争いに巻き込まれ精神的に病んでいく

心療内科のF先生の元を始めて訪れたのも、甲子園球場が活気づいていた夏の暑い日でした。

ザックリとした経緯は、カウンセラーのS先生から伝えてくれていたものの、F先生は私の話を聞くなり、こう言いました。

「急を要するので明日奥さんを連れて、もう一度来て欲しい」と。

明日は土曜日、混むんじゃないですか?月曜日で良くないですか?なんて考えていたら、「君の生死に関わることだから、明日の予約は全部キャンセルしてもいいぐらいだ」とおっしゃる。

実はこのF先生、この業界では少し熱血な心療内科で知られているらしく、少々変わり者でもあった。

翌日、妻を連れて再び心療内科を訪れると、「彼は、このまま行くと死ぬよ」と開口一番妻に告げる。

理由は、社内抗争にあって、自分が正義の味方かなにかと思っている。不正経理を暴くことが正義、不正経理を指示したバカな上司達を法廷で裁くのが自分の使命、と考えている。

「勝つまで走り続けるランナーズ・ハイ的な状態だから、テンションがプッツリ切れたら死ぬよ」というのが彼の診察結果。

「主治医として、休職するかあるいは退職して休息することを命じます」と言われたものの、私にはまだやることがあり、ここで退場するわけにはいかなかった。

そう、私に罪を擦り付けて自分たちは、関与していないと豪語した上司達を倒す必要があったからです。

もう誰のアドバイスも耳に入らなくなっていた私の傍で、妻が涙していたのを今でも覚えています。

もう時間がないと悟った私は全てを暴露し最後の反撃

老舗企業における最後の1年間は、壮絶。

既存の上司や管理職達に牙をむいて、ベンチャー親会社の凄腕部長たちと豪快に闇を暴いていく。

まるで水戸黄門の最終回を毎日見ているようでしたよ。

私が不正経理の全てを握っているわけですから、あるはずのない倉庫に凄腕部長たちをお連れしたり、開かずの扉をあけてみたり、いわゆるB勘定的な帳簿を出すわけです。

もう現場は大混乱で、管理職連中は真っ青です。

私がここまで豪快に暴れられたのには訳がありました。

そう、親会社から「本店に来て総務部隊を率いて欲しい」とお墨付きをもらっていたのです。栄転っていうやつでしょうか?

こうなる前は、それなりに真面目一筋で総務職を全うしてきました。もちろん汚い仕事もやりましたとも、誰もやろうとはしない改革を打ち出して、プロジェクトを成功に導きましたとも。

そういう噂は本店にも届いていたようで、人事部の一番お偉いさんに気に入られていたようなんですね。まぁ、後から考えるとこうやって手懐けて特攻部隊をやらされた感も否めませんがね。

ひとつ闇を暴くごとに、親会社の役員たちと集まって乾杯ですよ。

気持ち良かったのなんのって、もう自分は半沢直樹の気分ですよ。「やられたらやり返す!1000倍返しだ!」って。

でもそこに居合わせた役員の一人がこう言ったんですよ。「おめえ、ここまでのことやったんだから、もう後には戻れないよ」って。

リストラ勧告される1か月前の、冬の寒い日でした。

カウンセリングで心休まるも転院そして最後の1年

[box05 title="要点まとめ"]
  • 首を絞められているような圧迫感に苦しむ毎日
  • 無料心理カウンセリングを受診し少し楽になれた
  • 激しい主導権争いに巻き込まれ精神的に病んでいく
  • もう時間がないと悟り全てを暴露し最後の反撃
  • 帰宅したら妻と娘にゾンビと言われるほど憔悴
[/box05]

今振り返っても、この時の私は闇を暴く正義の半沢直樹なわけです。初めて通う心療内科でもらった精神安定剤と睡眠導入剤を服用しながら、バリバリ道なき道を進む快感。

誰の意見も耳に入らず、ただひたすら不正を暴く正義の社員を演じていたのですが、翌年私はリストラされてしまいます。

ええ、戦いに負けたのは私だったんです。

哀れだよなぁ。